風景をつくる分譲地

風景をつくる分譲地というプロジェクトを立ち上げました。

風景をキーワードに境界線がないように見える住宅地、
大きな敷地に5つの住宅が建っているような住宅地をつくるプロジェクトです。

このプロジェクトを計画している敷地は、
ぼくの自宅でもある波志江の家の目の前であり、父親名義の土地です。
この土地を分譲し住宅地にします。

土地を貸して欲しい、売って欲しいという話がたまにあるけれど
そのまま他人に委ねるのは違うような気がしています。
自分で設計事務所をしているのだから、
ぼくが想い描く住宅地をつくればいいんじゃないかなと思うようになりました。

ぼくが思い描く住宅地は、土地を買って家を建てて終わりではなく、
そこがスタート地点のような住宅地です。

10年、20年、30年後の風景を一緒に描き続けませんか?
表向きは土地を販売し、家を建てたい人を募集するプロジェクトですが、
ぼくの気持ちとしては一緒に住宅地をつくることを通して、
この地の風景づくりをする仲間を募集する感じです。
自宅の目の前の土地なので、ぼくが生きてる限りプロジェクトに関わり続けます!

風景をキーワードにした理由は自宅でもある波志江の家にあります。

波志江の家の大きな特徴の一つに玄関がないことがあります。
玄関ドアのかわりに大きなサッシ、玄関のかわりにリビングの前に土間を設けました。
外から室内に入ったとたんリビングです。
ぼく世帯のリビングの床の高さは他の部屋よりも低く、床と地面がとてもちかくにあります。
サッシを開け放つとリビングと庭が文字通りひと続きに。
土間には植物がおいてあり天気が良い日には外に出します。
いつも家の中にある植物たちが外にあるとそこまで家の一部のようで、
外に出したといより隣の屋根のない部屋に移動したかのようです。
庭に行くことが外に出るというより隣の部屋に行くように感じます。

子供達は家の中で遊び、庭でも遊びます。
隣接する畑や、庭の目の前にある舗装されてない道でも遊びます。
近所の子供達と庭、畑、道路とか関係なく走り回ります。
庭、畑、道路といった枠組みではなく、もっと大きな視野で遊んでいます。

窓を境に中と外がある事や、庭、畑、道路という違いなど、なんとなく意識してしまう境界線。
境界線があるから快適だったり、便利だったり、秩序が守られたり。
でもその境界が緩むとなんだか楽しそう、なんだか豊かな感じがします。

境界線が曖昧になる大きな視野で世界を捉えるその感じを表すと風景なのかなと思いました。

青い空や遠くに見える山にはじまって遠くに見える建物、電柱や道路、そこを走る車に自転車、散歩する人、お隣の家、お隣の庭に生えた木々、自分の庭にある木々や草や石。
リビングでコーヒーを飲んでいれば、家の窓、窓辺に置かれた本や小物、テーブル、テーブルの上にあるコーヒーカップまで、風景という言葉であらわせそうだなと。
境界なく遠くから近くまで、内外関係なく、自分の目の前に広がるものたちをすべてつながっていく言葉だと思います。

ここで実現したいことは豊かさを感じられる、境界の曖昧な風景のような分譲地です。

つづく
このページは日々更新し、文章の加筆、イメージや写真を追加していきます。

所在地:群馬県伊勢崎市
設計監理:矢内建築計画一級建築士事務所
施工:翼創建

2021.03.06

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